第1章

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 不覚にも、 彼はヨダレを大量にこぼした。 (きっと美人に違いない。 何とか出来ないかなぁ)  ほんのわずかな時間だが、 性欲に起因する様々な願望が、 勉の頭の中を全て占領した。    一般的には、 友達あるいは先輩に連れられて、 芸妓屋、 遊女屋が集まっている花街≪かがい、 はなまち≫に行き、 所謂≪いわゆる≫「筆おろし」をするものだが、 大人になった勉には、 誰一人としてそのような人はいなかったので、 自ら何度も当時はまだ違法ではなかった明石にある赤線にかよったのだ。 勿論、 国鉄(今のJR)を利用して、 神戸市兵庫区福原町にあった遊廓にも、 何度か足を運んだ。
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