第1章

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(俺は、 無駄な争いはしない主義だ! 誰よりも、 平和を愛している人間だ! ここで、 引き下がるのが、 真の男だろう! うん、 そうだ、 そうに、 間違いない!)   金縛りには、 閉眼型と開眼型の二種類があるが、 勉は閉眼型である。 だから、 目を固く閉じているのに悪霊……などが見える。  彼はとても恐怖に敏感である、 端的に言えば、 極度の怖がりだ。 重いストレスを、 背負い込むと、 幼い頃から、 必ず金縛りに苦しんできたのだった。  昨晩、 徹夜して論文を書いていた筈だったが、 机上にはヨダレが作ったとおぼしき小さな池があった。 つまり、 短い時間だろうと思われるが、 深淵な眠りの世界に落ちていたのだ。
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