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「あー、では、その、まず第一に、私はこう見えて我慢強い方です。多少の問題なら逃げずに粘り強く解決のための道を探します。大学時代には社交クラブ(ソロリティー)にも積極的に参加していたので、社交性もあります。それから、半年前まで勤めていた会社では――不当な理由でクビになりましたけど――企画関係の仕事にも携わっていたので、お客様に対するプレゼンテーションや新しいアイディアの創作についても自信があります。つまり何が言いたいかと言うと――」 「――もう結構」  私の渾身の自己PRは、魔女がピシャリと放ったその一言で幕を閉じた。いきなり話を遮られた私は、せっかくこれから結論を話すところだったのに、という非難の眼差しを真っ向から浴びせたものの東の魔女はどこ吹く風。そして最後にこう言った。 「ポートマンさん。あなた、我が国の面積を知っていますか?」 「え?」 「私たちが今暮らしている、このアメリカ合衆国という国の面積です」 「え……あ、えっと、細かい数字までは分かりませんけど……5000km2くらい?」 「9857km2です」 「……」 「あなたの挙げた数字の約2倍ね」 「は、はい……そうですね……」 「つまり、このアメリカという国はそれだけ広大だということです。国が広いということは、その広さの分だけ多くの企業があるということ。分かるかしら?」 「は、はあ……」 「それだけ多くの企業があるのだから、その中には1つくらいあなたの素質にも見合った会社があるでしょう。私からは以上です。お疲れ様」  そう言って手元のファイルを優雅に閉じると、東の魔女は初めてにこやかに微笑んだ。  そのとき私が心の中で叫んだ言葉を、敢えて記す。  You're ratchet!!
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