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今日は特別な日なんだ。空が綺麗だから。
今日は特別な日なんだ。四ツ葉のクローバー見つけたんだよ。
今日は特別な日なんだ。好きな唐揚げを食べたし。
今日は特別な日なんだ。階段で1回も転ばなかったもの。
今日は特別な日なんだ。だって、だって――
「ごめんね、もういいんだよ。」
「いや待ってくれ!ちゃんと言えるさ。何か、なにか…そ、そうだ!!今日は特別なことが無かった!だから今日は特別なことがない、特別な日だ」
「…もう、いいの。」
「そんな事言うなよ。今日は特別なんだ。だから、今日は大丈夫だろう?それに明日だってきっと、」
「もうやめて!」
「っ…」
「ありがとう、その気持ちだけで私は十分。」
「!なら、」
「…でももう限界なの。」
「――え?」
「あなたのせいじゃないの。でも、もう限界なの。…もう来ないで。二度と、顔を見せないで!!」
今日は特別だ。会えない代わりにガーベラを。
今日も特別だ。なら今日はデイジーを送ろう。
今日だって特別だ。今日はちょっと洒落てアルストロメリアなんてどうかな?
――――今日は、特別な日なんかじゃない。
雲一つなくて、花々が綺麗に咲いている、そんな特別ではない日。
君は真っ白な衣装に包まれ、
僕が送ったものではない、君に全く似合わない花に囲まれて、
そして僕は純黒を身に纏う。
『今日みたいな特別な日にお星様になりたくないもの。』
「そう、言ったじゃないか…」
今日は特別じゃない日だ。けど普通な日でもない。
だから今日はワスレナグサを送ろう。
…明日からはきっと、普通な日だ。
だから、明日からは真っ白なカーネーションを送ろう。
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