警視庁第十九課 『小さな探偵誘拐事件』

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 小晴からの報告により、三兄弟が通っていた小学校が判明した。  平臣小学校、彼らの自宅にほど近い場所にある小学校だ。  圭悟の担任である手塚(てづか)俊哉(としや)は、事情聴取に応じ、次のように話した。 「圭悟君は、とても大人しい子です。そして頭がいい生徒でした。確か、弟妹の世話もよくしていたはずです」  手塚教師は、何か思い出したようだ。 「ああ、そういえば。圭悟君は本が好きですので、図書館や本屋に行ってみてはどうでしょう」  失礼しますと言って、手塚教師は職員室のほうへと歩いていった。 「圭悟が本好きなんはしっとったけど、図書室か……。盲点やったな……」  落ち込む翔大を他所に、湊人は電話に出る。 「もしもし。……本当か!」  湊人はスマホを手で覆い、翔大に内容を伝える。 「翔大。今回の事件、捜査本部が立つそうだ」 「なんだって」 「母親の香澄に、犯人から電話がかかってきたそうだ」
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