警視庁第十九課 『小さな探偵誘拐事件』

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 その重要なことというのは、彼らの年齢である。  香澄は今、二十九歳。長男圭悟は、十二歳。双子の姉弟、有里と涼介は六歳。  つまり、香澄は圭悟を十七歳のときに産んだことになる――計算上では。  だが、調べていくうちに分かったことなのだが、圭悟は香澄が産んだ子供ではなかったのだ。  先妻が産んだ子供である圭悟に対して、香澄はあたりがきつかったようだ。  だから大変な有里と涼介の世話を、圭悟に全て押し付けていたのだ。 「これはひどいな……」 「これで犯人が絞れるかもな。尾形家の、この状況を知っていた人物が犯人である可能性は高いだろう」  湊人の冷静な分析に、翔大は首をひねる。 「俺以外に、あの子らが誰かと親しかった人なんて、おるんかなぁ」 「と、いうと」 「俺が最初にあの子らと話したときも、めっちゃ警戒されたんや。特に圭悟は人見知りでなぁ。そんなあの子らが他人に相談するなんて、考えられへん」
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