警視庁第十九課 『小さな探偵誘拐事件』

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 湊人は翔大と共にもう一度、香澄の元を訪ねた。 「何よいきなり」 「あなたの子供たちに、誰か仲が良かった人はいますか」 「知らないわ。けど、『お兄ちゃん』ならよく話してたわね」 「それ以外に、心当たりはありますか」  香澄が首を振ったのを見て、湊人と翔大は顔を見合わせて頷いた。 「もういいかしら?」  湊人たちの返答を待たずして、香澄は扉を乱暴に閉めた。 「『お兄ちゃん』は、恐らく翔大のことだろう。母親の言葉を信じれば、翔大以外に親しい人はいないと見える」 「せやな。ここで一つの可能性が出てくる」 「ああ。それについて調べれればいいんだが……」  湊人は尾形家の扉にそっと目をやった。
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