警視庁第十九課 『小さな探偵誘拐事件』

6/30
前へ
/30ページ
次へ
 湊人は警視庁を出たところで追いつき、翔大の袖を掴む。 「翔大、分かってるだろ。関係者は捜査に加われない。そして十九課は、要請がなければ捜査が開始できない。……たとえ、行方不明事件でも」  翔大は分かってると呟く。 「それでも俺は、あの子らを放っとくことはできん」  翔大は湊人の手を振り切り、雑踏の中に消えていった。 「翔大……」  湊人の手は、ゆらゆら揺れる風船を掴もうとするかのように、目に見えない何かを探っていた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加