警視庁第十九課 『小さな探偵誘拐事件』

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「ちょっと、何よ。こんな時間に」  部屋から出てきたのは、うら若い女性だった。  昼間にもかかわらず、アルコールの匂いがきつい彼女は、尾形(おがた)香澄(かすみ)。行方不明になった子供たちの母親である。 「お宅の子供さんが行方不明になったと、警察から事情は聞いていますか」 「ええ、聞いてるわ。それが何?」 「それについて何か、心当たりはありませんか」 「何、あなたたち。児童相談所か何か?」  全く子供のことを心配しているそぶりを見せない香澄に、翔大は頭にきたようだ。  だが、一歩踏み出したところを湊人におさえられ、翔大はしぶしぶその場にとどまる。
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