1・イケメン×亡霊×まっすぐバカ

10/22
前へ
/128ページ
次へ
 ふと、目の端に影が映り込んで、聖はスマホをポケットに仕舞い、立ち上がった。 「盗み聞き? そこにいるのは解ってるんだけど?」  溜息を吐くと、なるべく不機嫌そうな低い声で訊ねた。  竜也は階段下で、告白の成り行きを見守っていた。凛子が唐突に駆け下りて来た時には、忍者になったつもりで、壁に貼り付いた。凛子にはバレバレで怪訝な顔をされたが、聖は、自分の存在に気付いていないらしい。  女の子からの告白を断ると、いつものように、聖は頭を抱えて、座り込む。自分が告白を断ることで、相手を傷つけてしまったと、自己嫌悪に陥っているのだろう。  アイツは昔からそうだ。小さなことでいちいち悩むんだ。弟が二人いて、面倒見がいい長女の気質を兼ね備えているからな、アイツのことをアイツ以上に、俺は知っているんだと、竜也は納得しながら、聞き耳を立てていた。  聖は女のくせに女子にモテる。憧れ半分、マジ半分。高校に入学してからは、ずっと女の子から告白を受けている。全部断わっているみたいだけれど、聖のイケメンっぷりは、男の竜也が羨ましいと思うくらいだ。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加