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「あぁ、体中がクソいてぇ……」
最後に文句を言いながら、聖が上半身を起こした。手や、スカートから伸びた白い太ももを見て、固まった後に、
「えぇ? 何コレ、何で俺、女子の制服着ちゃってるんだ?」
と大きな声を上げた。
「もしかして、中身は竜也か?」
兎月が華奢な指先で、聖を指した。
「何? どういうこと?」
聖は辺りをキョロキョロと確認し、隣にいる竜也を確認し、
「俺! 何で?」
と、指を差して、声を上げた。
「あぁ、どういう状況か、段々、理解して来たよ、僕」
鈍い痛みが残るコメカミの辺りを、右手で押えながら、兎月は告げた。
「ちょっと、整理してみようか。空知くん、ルーズリーフ、一枚貰ってもいい?」
三人は、周りに誰もいないことを確認すると、そそくさと階段を駆け上り、屋上へと続く扉の前の踊り場に、お互い向き合うような形で、座り込んだ。
兎月は鞄の中から、ルーズリーフと、ペンケースを取り出し、シャープペンシルで、ルーズリーフに、人の形を三つ描いた。それぞれの頭の上に、「竜也」・「空知くん」・「聖」と名前を書き込む。
続けて、「空知くん」と書かれた人の中に、「聖」と書き込んだ。
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