1・イケメン×亡霊×まっすぐバカ

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「さっき、地震みたいなのがあったろ? で、空知が足を踏み外して、俺らに向かって倒れ込んで来た。で、俺ら一緒になって、階段を転げ落ちてる間に、体が入れ替わってしまったんじゃないか?」  聖が大真面目な顔で、持論を述べた。確かにSFちっくな話ではあるが、そう考えれば、納得出来る。 「……じゃあ、また階段から三人一緒に転げ落ちたら、元に戻りますか?」  竜也が情けない顔をして、二人を交互に見た。 「まぁ、そう考えるのが、妥当だよな?」  聖は頷いた。  三人は踊り場に立ち、円陣を組んだ。 「一気に行くぞ!」 「あぁっ、ちょっと待って。いざ落ちると思うと超怖い。10秒待って」 「バンジージャンプと一緒で、こういうのは思い切りが大事なんだよ」  聖はそう言って、階段下に向かって飛び込んだ。 「うわ、急過ぎるって、バカ竜也―」  兎月が叫び声を上げ、三人はもう一度、階段から転げ落ちた。反射的に受け身を取っていたのか、先程よりは痛みは少なかった。 「どうだ?」  聖がむくりと起き上り、訊ねた。 「うん、僕の前に僕の本体がいるね」 「入れ替わったままか? あー、痛い思いを二度もしたのによぅ」  聖は苛立ちを隠さずに、頭を掻きむしった。
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