1・イケメン×亡霊×まっすぐバカ

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「も、もう一度、試して、みますか?」  竜也が訊ねる。 「いや、止めておこう。たぶん、階段から落ちたことが、入れ替わった原因じゃないのかもしれない。何度も転げ落ちて、怪我でもしたら、それこそオオゴトになっちゃうし……」  兎月がブレザーのポケットをまさぐると、ポケットティッシュを発見した。消費者金融会社の広告の乗ったティッシュを、竜也に差し出すと、唇の端を指差した。 「空知くん、唇から血が出てるよ」 「あ、ありがとうございます」  竜也はお礼を言って受け取った。顔を顰めながら、血を拭うと、 「わ、わわ鷲尾くんの顔なのに、傷物にしてしまってすみません」  と深々と頭を下げた。 「別に気にするなよ。俺、男だし。むしろ、聖の顔じゃなくて良かったよ」 「ど、どうしたらいいでしょうか? ……これから」  竜也は泣き出しそうな声で、二人を交互に見た。 「とりあえずは、このままで生活するしかないよな? どうやったら戻るかが解らねぇんだからさ」  聖が両腕を組み、溜息を吐いた。 「僕たちが入れ替わってしまったっていう事実は、みんなには秘密にしておいた方がいいよね?」 「ていうか、『入れ替わってるんだ』って、言っても誰も信じてくれないだろ?」
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