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ガラス玉の中の気泡がキラリと光った気がし、兎月は思わず目を瞑った。
ドン!
突然、背中から突き上がるような衝撃を受け、兎月は飛び起きた。地震? 辺りを見渡しても、揺れ続けている気配はない。一体、何だったんだろう。心臓がバクバクと音を立てていた。中間テスト後だし、疲れているのかな? 今日は早めに帰って寝よう。枕代わりにしていたリュックを手繰り寄せ、ガラス玉を鞄の内ポケットに仕舞った。そそくさと立ち上がり、屋上の扉に手を掛けた。
「見て、ようたんの新しいインスタがあがってるよ」
「本当だ。ヤバイ、カワイイ。これで、男の子とかありえないよね。うちら女子の立場ないよ」
放課後。二年三組の教室は、帰宅部の女子グループの溜まり場へと化していた。スマホを覗き込みながら、他愛もない話に花を咲かせている。
「ようたんはいいから、津田、早く日誌書けって」
葛西聖は、隣の席の津田あかりを見つめ、溜息を吐いた。
「大体さ、そのようたんって奴? 隣の地区に通う、ただのダンシコーコーセ―だろ? それを皆、何をわぁわぁ騒いじゃってるんだかね?」
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