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「ただの男子高校生じゃないよ! 読モだよ? インスタのフォロワーだって、10万人越えのスーパー高校生なんだから! ようたんが通う高校が近くにあるってだけでも奇跡なのに、葛西は乙女心が解ってないなぁ」
聖は津田のスマホの画面を覗き込んだ。カラコンを付けているのか、黒目の大きな男の子が、微笑んでいる写真がアップされていた。陶器のように白い肌は、髭なんて生えなさそうだし、ニキビなんて出来たことないんじゃないかって位に、艶やかだ。あざとく、角度を狙って撮られた自撮りの写真は、ネクタイを外したYシャツ姿で、はだけた胸元から、鎖骨とシルバーアクセサリーがちらついていた。
顔の周りには靄がかかっていた。加工アプリを駆使して、投稿された写真に、どれだけいいね! が貰えるかが、彼にとってのステータスなのだろう。
「『これから撮影です』だって。雑誌かな? この間、インディーズバンドのPV出てたよね?」
「深夜枠のドラマのレギュラー決まったとか? ヤバイよ、ようたん、いよいよ全国区だよ」
「くだらなぁー」
これだから女子はと、聖は頬杖を付いた。
「そいつのどこがいいの? 女みたいじゃん!」
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