4・合コン×探偵×ストーカー

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 竜也は珍しくスマホのアラームが鳴る前に目が覚めた。ベッドの中で伸びをし、温かい布団の中で暫しまどろむ。カーテンを開け、朝日を部屋の中に取り込んだ。  兎月の部屋で過ごすようになって、一週間が過ぎていた。聖と兎月の間で入れ替わりが起こったが、竜也は兎月のままだった。  兎月の部屋に大きな本棚が二つある。どんな本を読んでいるのかと、手に取ってみたけれど、細かい活字に竜也は眩暈を覚えた。普段、漫画しか読まないのだ。活字を追うと眠気が襲ってくる体質でもあった。  制服に着替え、部屋を出ると、リビングには、すでに陽太がいた。モコモコした肌触りの良さそうな部屋着を着、キッチンでトーストを妬いていた。 「……はよ。パン、焼くけど食べる?」  まだぎこちないけれど、陽太とは、少しずつ話せるようになっていた。 「うん、サンキュ。俺、ハムエッグ作るよ」 「超焦げてるじゃん。兎月、まだ俺のこと恨んでいるのか?」  端の方がだいぶ黒焦げたハムエッグの乗った皿を陽太の前に出すと、一瞥して溜息を吐いた。 「ちょっと、失敗しただけだろ? 文句があるなら食わなくていいよ」 「食わないとは言ってないだろうが」
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