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「男だよ。小さい頃からの癖で、自分のこと『僕』って言うの、直んないんだけど、好きになるのは男の子なんだ。気持ちに答えられなくてゴメンね」
凛子はみるみる内に涙目になり、その大きな瞳から、涙が溢れた。ずびずびと鼻を啜りながら、
「ごめんなさい。葛西先輩を困らせてしまってごめんなさい」
と、何度も詫びた。純粋でいい子なので、聖の心もちくりと痛む。ブレザーのポケットから、タオル地のハンカチを取り出すと、彼女に渡した。
「想いを伝えたら、スッキリしました。失恋記念に先輩のハンカチ、貰ってもいいですか?」
「うん、まぁ、そんな物でよかったら、どうぞ」
凛子は、涙を拭いたハンカチを胸の辺りで握りしめ、何度も頭を下げて、階段を駆け下りて行った。
これで今月、何人目の告白だ? しかも女の子ばっかり。聖は頭を掻きむしりながら、階段に腰を下ろした。
高校二年生にして、170cm近い高身長に、生まれてこの方、一度も伸ばしたことのないショートヘア。下に弟が二人いるせいか、男勝りで勝ち気な性格が災いして、付いたあだ名は「イケメン葛西」。プラス意地っ張りな性格でもあるから、イケメン葛西のあだ名に恥じないように、クールぶっちゃってるし。
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