1・イケメン×亡霊×まっすぐバカ

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 本当の僕なんて____、聖は、ブレザーのポケットから、スマホを取り出した。  パスコードを押し、インスタグラムのアプリを起動させる。  やっぱり、ようたん、カッコイイな。  現役高校生で読者モデルのようたんこと、陽太(ようた)くん。プライバシー保護のため、苗字は明かしてないらしい。津田たちの前では、「あんなチャラそうな奴、好きじゃない」なんて、強がって言っているけれど、聖も密かに、ようたんに憧れていた。  だって、ようたんは、お伽話に出て来る王子様みたいなのだもの。細身で長い手足とか、儚さが残る表情とかがたまらない。  本当は、普通の女の子みたく、休日はカワイイ服を着て、恋バナやカッコイイ男の子の話に花を咲かせてみたい。「好きな人がいる」なんて、嘘を吐いて、凛子には悪いことをした。好きな人=ようたんをイメージして吐いた嘘だけれど、この気持ちが恋なのかは自分でも解らなかった。  僕には恋とか、オシャレとか、柄じゃないもの。クールでボーイッシュな僕が、ここでの居場所なんだ。イケメンって言われるの嫌いじゃないしと、聖は自分に言い聞かせた。
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