仰げば尊し

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 小癪な猫めが、俺の掌の上でいいように転がされ、啼き悦がっている。  唇をひとつ舐めると、衛はその責めをさらに強く熱く昂ぶらせていった。  分厚い舌で、すっかり紅く染まった小さな乳首をぬるぬると舐め、性器は茎や雁首だけでなく、先端の尿道まで指先で摩った。後膣に第二関節まで突っ込んだ指を抜き差しし、その体内まで弄り回した。 「どうだ。気持ち悦いか?」 「やッ、やッ、だ、ダメッ! マモ……ルうぅ、あぁあッ!」  水と緑の香りの中に、陽の精の匂いがほのかに漂った。早々に果ててしまった彼は、頬を染め恥辱に震えた。  まさか。  まさか、挿れられてもいないのに、イッちゃうなんて。  この僕が、マモルなんかに! 「マモルの馬鹿……。むっつりスケベッ」 「そんな悪口を叩いてもいいのかな?」  くちゅり、と静かな粘っこい水音を立てながら、精にまみれた衛の指が陽の体内深くを探ってくる。  長い節張った指は2本に増やされ、3本に増やされる。その指がばらばらな動きで、体の奥にイタズラをする。あと少しで一番気持ち悦い所に届く、というところで焦らすように去ってゆく。  歯を食いしばり、首を反らせて堪えようとしても、奥底から 湧き上がってくる淫靡な欲求は治まらない。もう、歯止めが利かない。マモルの苛めに、耐えられない。 「最後まで……いいか?」  そして、ここまで僕を狂わせておきながら、こんなところで変に優しいんだ。この秋月 衛という男は。 「……いいよ」  その返事に、衛は軽く陽の唇にキスをすると、突然両足首を掴んで大きく拡げてきた。 「いやッ! やだ、やだ。やっぱり、ダメぇッ!」  恥ずかしい。  あぁ、これまでどんな人間と寝ても、恥ずかしいなんて考えた事なかったのに!  人恋しいから、お金が欲しいから、体が火照ってるから。  そんな理由で、誰とでも構わずセックスをしてきた。頭の中は妙に冷め、せっせと動く相手を蔑み、小馬鹿にしながら抱かれてきた。  それなのに。 「あ、あ、あぁああ……ッ」  衛が、ゆっくり挿入ってきた。彼のものが、体内に当たる。内壁を擦りながら、奥へ奥へと犯してくる。  陽の切ない悲鳴を、衛は心地よく聴いた。  彼の内は温かく、柔らかく、吸いつくように絡んでくる。極上の身体だ。
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