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1/1 AM11:50
"今日未明、群馬県伊勢崎市の遊園地で観覧車の側で男性が頭から血を流して倒れているのを警備員が発見しました。男性は閉園後に忍び込み、観覧車に上りその上から飛び降りたものと思われます。警察は自殺とみて調べています―――"
発見されたとき、血溜まりの真ん中に倒れる男性は笑っていたと、警備員は疲れた顔をして状況を説明した。
警察と消防が駆け付けたとき、死後硬直で固まってしまったため、遺体を運ぶときも男性の顔は笑顔が崩れなかった。
青白い顔をした男性の笑みはとても美しく、死ぬことを喜ぶかのように見えたと、警察は言う。
「なんか特別なことでもあったんだろうな」
自殺として処理は早く終わったが、自殺した人間が笑顔でいたという例は特殊なため、その日署内ではどこからかそんな声も聞こえた。
そしてそれは、間違いなく特別な日であったことは男性しか知らない。終焉を迎える者にしか分からない最高の一日だった。
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