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星降る夜はあなたの隣で
ざくっ、ざくっ、ざくっ。
足元から降り積もった雪を踏みしめる音が聞こえる。
口からは呼吸をするたびに白い息が漏れ、鼻から空気を吸うとツンと奥の方が痛くなった。
季節は冬、12月になってからますます降雪量は増えている。
時刻は夕方に分類される時間帯のはずだが、季節が季節な分すでに辺りは真っ暗だ。
寒空の元、自分以外にも帰路を急ぐ人たちがちらほら見える。うちの町、というか村は小さなところなのでこの辺まで来ると大体みんな顔見知りしかいない。
そしてこのあたりになるといつも決まって彼女はやってくる。
「とぉーう!!」
背中にいつもの衝撃を感じて身を固くする。これは彼女が俺にちょっかいをかける合図のようなものだ。
「ん、輝夜。お前は今日も元気だな」
「そういう氷雨は今日も元気ないね」
ここまでがいつも通りのテンプレートだ。このやり取りをし始めてもう3年目になる。
「それにしても今日は寒いねー。いつも寒いけど、今日は格段と寒いって感じ」
「今日は風がない分まだマシじゃないか?確かに気温はかなり低いけど、強風で向かい風じゃないだけまだいいだろ」
「確かに、そういわれてみればそんな気がする」
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