バレンタイン・イヴ

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『これ、お前に渡しとく。だからいつでも……』 要が照れくさそうにしながら俺にくれた合鍵。 今こそ使っていいんだよな。 寝ているんだったら起こさないようにうるさくしないように、音を立てないよう気を付けながらゆっくりと鍵を回しドアを静かに開ける。 「……なんか泥棒みたいだな」 シーンと静まり返った部屋に、足音を忍ばせながら入って中を注意深く見渡した。 「…………要?」 部屋はもぬけの殻だった。 てっきり寝てるとばかり思ったのに、ベッドにも要の姿はなかった。 どうして? 確かに昨日のメールでは『明日はバイトのシフトも入ってないし、学校からアパートに帰る』って。 まさか居ないなんて。
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