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瞳が……
……合った。
ほんの一瞬の事だったけど、確かに瞳が合った。驚いた様に見開かれた瞳が、私に気付いてくれたんだとわかる。
その事実に、僅かに胸が震えるのを感じた。
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その日の夜、学校近くの小料理屋で歓迎会と銘打った飲み会が開かれた。
新人の男性二人は飲み会が始まってすぐにどんどんお酒を注がれては飲み、注がれては飲みを繰り返し、一人は早々に潰されてしまった。
もう一人はかなり呑める口らしく、注がれる杯を次々と飲み干してゆく。
紫先生はお酒を勧められはするものの、それをのらりくらりとかわしながらそれでもそこそこの量のお酒を飲まされている様だ。
私はその様子を少し離れた席から見ていた。
すると教頭が紫先生の隣に座り何か話し始めた。紫先生は笑顔で頷きながらその話を聞いている。
段々と教頭の話にも熱が篭ってきたようで、時折身振り手振りを交えて話している。そして何故か紫先生の手を取った。
紫先生はその手を振り払う事こそしていないけど見るからに顔が引きつっている。
酔っている教頭はそれすら気付いていないようだ。
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