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プロローグ
三月も終わりに近付き、学校へと続く桜並木の桜が咲き始めている。
もう一か週間程で満開を迎える桜の様子を想像しながら自分の職場である高校へと歩いていく。
「おはようございます」
先に出勤している先生方に朝の挨拶をして、自分の机に向かっていると、掲示板に貼り出された書類に目が止まった。
毎年この時期になると貼り出される、異動のお知らせ。並べられた名前の中に知った名前を見付けた。
私の務める学校に新しく赴任して来る先生の名前の中にその名前はあった。
その名前を頭の中で数回反芻する。忘れる事のなかったその名前に私の心は締め付けられる。
会うのは何年振りだろうか。高校卒業以来だから、7年振りか……。
当時18歳だった私も今では25歳。あのヒトと同じ教師という道を選んだ私は県内のある高校で教壇に立っていた。
教師になって3年、やっと慕ってくれるような生徒も出来始め、業務にも慣れてきた。
そんな時に目にしたあのヒトの名前にざざっと心が波立つのを感じた。
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