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私の顔をのぞき込む紫先生の顔を見たら、どんどん涙が溢れてきた。
「ちょっとっ!?芽依子どうし」
涙を見られたくなくて紫先生にしがみつく様に抱き付いた。
「先生っ…紫……先……生っ」
「どした?ん?」
そんな私の背中をゆっくり撫でながら優しい声を掛けてくれる先生。
「っ……先生っ……岡やんとっ……付き合っ……てるの?」
その声に少し安心して、気になってることを口にした。岡やんとは、紫先生より2つ下の理科教師。爽やかイケメンで生徒にも先生達にも人気のある、今紫先生と付き合ってると噂されてる人物だ。
「へ?……あー、あの噂?付き合ってないけど?」
「ふぇ?」
呆気ないほど簡単にそう言った先生の言葉に気の抜けた声が漏れた。あれだけ噂になってるのに……?
さっきまで溢れていた涙は驚き過ぎて止まってしまい、私は先生の顔を見た。
「もしかして、その噂ずっと気にしてたの?それで最近様子がおかしかったの?」
涙の跡を親指で拭いながら、柔らかな笑みを浮かべて私の顔を見る先生。
「だって……二人でいる所見た人も居るって……」
「岡部先生とは最寄り駅が同じでね。スーパーでばったり会って、ちょっと立ち話してただけなんだけどねー。噂って怖いね」
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