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すると頭にぽんっと手を置かれて、ぐしゃぐしゃと撫でられた。
「ちょっ、紫先生っ何するのっ」
「気にしなくていーよ!そんなに生徒に想われて、教師冥利に尽きるってもんよ?」
なんて笑う先生。
……私の好きは生徒が教師に抱く好きじゃないんだよ紫先生。
「先生」
「ん?」
「好きです」
「うん、ありがと」
「好きなんです」
「うん」
ヤバイ……また泣きそうになって来た。
「芽依子」
急に名前を呼ばれて、気付いたら紫先生に抱き締められていた。
「泣かないで」
そう言われて、既にまた泣いていた事に気付いた。
こんなに好きなのに。
紫先生からは同じ気持ちは貰えない。
それなら……
「先……生……」
先生の顔を見つめ、その唇に自分の唇を重ねた。
「先生……好き」
唇が離れて、うわ言のようにそう囁いて。
でも紫先生の表情は曇っていく。
「私は……あなたの気持ちには応えられない」
そんなの解ってる。でも好きなの。伝えたいの。先生、困らせてごめんね。
「解ってる」
そう言ってもう一度口付けた。
紫先生は拒まなかった。
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