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私はすっと席を立つと紫先生と教頭の間に割って入る。
「教頭先生、少し飲みすぎじゃないですか?あちらで少し休んだらどうです?」
ニッコリと笑いかけてそう言えば
「おー片桐先生っ、まぁ片桐先生も飲んで飲んでっ」
「え、ちょっ……」
そのまま手を引かれ、無理矢理座らされた挙句教頭からのお酌を受ける。 ちらりと紫先生の方を伺えば、苦笑いしてる顔が見えた。
まぁ、紫先生への直接の絡みは防げたんだから良しとしようか。
それから暫く教頭の孫自慢とやらに付き合いながらお酒を飲んでいたら、隣からグラスの倒れる音が聞こえた。
驚いて隣を見ると、紫先生がテーブルに突っ伏していて、その弾みでグラスを倒したらしい。
「え!?ちょっと、紫先生っ!?大丈夫ですか!?」
揺するのはまずいかと思い、軽く肩を叩いて呼び掛ける。
「ぅ~……」
小さく呻く声が聞こえるので意識が飛んでるわけでは無さそうだ。
「狭山先生大丈夫ですか!?」
「どうした?」
「どうする?タクシー呼ぶか?」
周りがザワザワと騒がしくなってきた。私は隣でぽかんと現状を眺めている教頭に向かって一度頭を下げると、紫先生の荷物と自分の荷物を持つ。
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