はからずもえにし

出逢い

高校３年生の始業式。
新しく赴任して来た先生の自己紹介があった。その時見た先生の姿は今でも覚えている。

「国語を担当して頂く、狭山 紫先生です」

校長先生の紹介の後、壇上に上がって来た先生はピシッとしたスーツを着て、肩下まで伸びて緩やかなウェーブのかかった髪をふわりと揺らして、真っ直ぐ全校生徒を見渡した後、はっきりとした口調で自己紹介をした

「みなさん、おはようございます。ただ今紹介いただきました狭山 紫です。教科は国語、そして３年Ｃ組の担任を務めさせて頂きます。至らぬ所もあるかと思いますが、皆さんと共に学ぶ姿勢で日々精進して行きたいと思います。よろしくお願いします」

挨拶の後の礼がとても綺麗で、私は思わず見蕩れていた。 狭山 紫……先生。

それは完全に一目惚れだった。

「改めて、3年C組の担任を務めさせて頂きます狭山 紫です。１年間よろしくね」

教卓で自己紹介する先生をぽーっと眺めてた。そうしたら、不意に先生と視線が合って、にこっと笑いかけられた。

「先生恋人はー？」

「何処に住んでるんですかー？」

「今まで何人と付き合ったんですかー？」