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秘密と優越感
それから私は国語の授業だけは必ず出た。時折友達とサボることはあっても、国語だけは……紫先生の授業だけは休みたくなかった。
そして二学期に入ってすぐの頃、気分も乗らず何となく一人になりたいと思っていた私は屋上へと向かっていた。
屋上は鍵が掛かっていて出られないが、階段の1番上にある踊り場は殆ど人が来る事はない。
なので、一人でぼーっとしたい時はそこに行くことが多かった。
いつも通り屋上へ向かうといつもと違うことが1つだけあった。屋上の鍵が開いていた。しかも薄くだけどドアも開いたままだった。
好奇心からそっとドアを開けると僅かにギィーと音が鳴った。
そこに居たのは紫先生で。
開いたドアから見えた初めての景色。屋上のフェンスに寄り掛かり煙草を咥える先生が、ドアの音に気付いてこちらを向いた時、二人の視線が重なった。いつもと少し違う雰囲気につい見蕩れていた私は紫先生の声で我に返った。
「片桐さんもサボり?」
ニッと煙草を咥えたまま口角を上げた先生の顔はどこか悪戯っ子みたいで。
へ?片桐さん……も?
「紫先生も……ですか」
「そ。職員室じゃ煙草吸えないしねー」
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