私の望みが叶った日

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今日は特別な日だ 何故なら、今日私の望みが叶うからだ。 私、高島津優里枝は昔から美というものにこだわっていた。 きっかけは幼稚園時代にテレビで見たドラマの女優が綺麗だったというそれだけ。 私は、テレビに映ったある女優に目を奪われたのだ。 射干玉のような美しい黒髪、宝石のような瞳に真っ赤なルージュが似合う唇、シミや皺ひとつない陶磁器のような肌、スラリと伸びた手足は私が持っていた着せ替え人形のようで、胸元や背中が大きく開いているのにそれをイヤミなく着こなせてしまう最高のプロポーション………。 あまりにも美しすぎるその人に、私は目を奪われそしてこう思ったのだ。 美しくなりたいと……… その日から私は美に対する徹底的なこだわりを持つようになった。 母親の化粧水を借りて毎日風呂上りは徹底的にスキンケアをするようになり、洗顔は必ず朝と晩の二回を決めた。 周りの同年代の子供達が、泥んこ遊びや校庭を駆け回るなか私は徹底して汚い遊びと日差しをさけた。 だって、泥んこ遊びなんてしたら絶対汚れるし日差し何て敵よ、敵!!! だから、私は外で遊ぶことが大嫌いでそれで一度運動会に出たくなくて小学生の時に先生と大喧嘩をしたことがある。 だって、運動会なんてほぼ一日中外に出なきゃいけないんでしょ? あんな紫外線まみれの外にずっと出続けるなんて肌にとって天敵じゃない それが嫌で嫌でズル休みばっかりしていたら、先生に怒られて無理やり外に出されそうになって私は泣いて必死に抵抗して噛みついたり暴れたりした。 親にも必死に出たくないと言ったけれど、親は先生が正しいと言って私の美意識を否定された。 それが悔しくて、私は運動会当日体操服の下に長袖それから帽子に手袋にサングラスを身に着けて運動会に参加した。 勿論日焼け止めはバッチリ塗っての参加、これには親も教師もそれから周りの同級生もあんぐりしててそれから何も言われなくなった。 外で一緒に遊ばない私を、同級生は変わり者と言って遠巻きにみてきたけれど別に構わなかった。 私にとって、美意識を邪魔されなければ別に一人で至って構わなかったから そんな徹底した美意識を追求した結果、私はシミ一つない真っ白な肌を手に入れた。
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