道端の石はかく喋る

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 昨日まで私は、シカトが一番怖かった。サツキにシカトされたら最後、ネイルして髪を染めて、゛友達゛とつるむ私たちの青春が消える。教室の隅っこでバカにされて、掃除のときには机が運ばれなくて、触れたものには誰も寄り付かなくて、自転車は壊され、教科書は破られ、髪の毛はハサミでジョキジョキと切られて、身体はアザだらけで。  そんな惨めな存在にはなりたくない。サツキに逆らわなかったら、私は女子高生でいられる。  そう思って、こんなやつのために私は何回も警察のお世話になった。  うざったい……自分が! 惨めなのはこいつらだ。なのに私は、親を失って初めて気づくなんて……。 『今日のネイルは奮発したんだ。』  私は心のなかでサツキに問いかける。 『黒い薔薇、花言葉は「あなたは私のもの」「憎しみ・恨み」』
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