道端の石はかく喋る

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 ……パパ、ママ 「つい昨日まで私に笑顔を見せていた二人が、もういないなんて」  コンビニのなかがなにやら慌ただしい。私と同じくらいの年齢の店員たちの中心で店長らしき中年の男が指示を飛ばし、自らは携帯電話を肩で支えてメモをとっている。  その首をかしげるしぐさに、ダラリと垂れ下がるパパとママの首がなぜかダブって見えた。 「……………………どうして」  ゆらりと視界が歪む。 「どうして、私を置いていくの」  気づけば私も跪いていた。膝にポタポタと水滴が落ちる。それが涙だと、私は手で乱暴に顔を拭って確かめる。  どうして、私を  いつも一人ぼっちにするの?
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