幼馴染みの彼女

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 大嘘つきだ。  思ってもない言葉を連発し、脳内は大パニックに陥っていた。何が待ってただよ。残業してただけだろ。  そもそも彼氏の有無なんて何で聴いてんだよ。居るって言われたらどうするんだ、俺。しばらく立ち直れそうにないぞ。 「彼氏なんて居ませんよ。幼馴染みに会いたいなと思っただけです」  彼女の言葉に、俺は思わずガッツポーズをしそうになる。  彼氏が居ない上に、会いたいのは幼馴染み。ほぼ確定と言っても良い。幼馴染みねぇ、と返し彼女の様子を伺う。  その後の記憶はあまりない。高揚しすぎて表現しようもないくらい感情が粗ぶっていたことだけは覚えている。  感情的になっていたおかげで、彼女を上手いこと誘い出せたことは確かだ。  送ると言って適当に車を走らせ、小高い丘の頂上で車を止める。外に出て空を見上げると無数の星が空を埋め尽くしていた。  久しぶりだった。星を見上げることも、誰かと空を見上げることも。  どこかで無意識に避けていたのかもしれない。夜空を見上げ星を眺めるたび、会えない彼女のことを思い出すから。でも、もう一人じゃない。  すっと深く息を吸うと、俺は口を開いた。 「遅くなったけど迎えに来たよ、あさ」 「……待ちくたびれたよ、紘」  そう言ってあさは俺の手をぎゅっと握る。ごめん、と返し俺は彼女の手をぐっと引き寄せた。  彼女は驚いた様な声を発したが、俺の手を離すことも抱きしめた腕を解こうともしなかった。 「長いこと、待たせてごめん。もう離さないから。結婚しよ、あさ」
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