幼馴染みの彼女

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 神は、どうやら俺に加勢してくれるらしい。  工藤とシエスタを貪ったせいで残業が確定した俺は、定時を過ぎてもなおパソコンに齧り付いていた。  ちなみに、要領の良い工藤は俺と同じだけ休憩していたにも関わらず、定時に仕上げ颯爽と帰って行った。何もかも工藤には敵わないが、この際どうだって良い。  瀬口あさに近付くチャンスを、神は与えて下さったのだから。  気合で仕事を片付け顔を上げる。  彼女はまだ仕事が終わらないらしく、規則正しくキーボードを弾く音が室内に響く。残業仲間も数名残っていたが、既に俺と彼女以外は帰ってしまっていた。  つまり、今部屋には俺と彼女の2人しか居ないと言うことだ。話しかける絶好のチャンスである。  帰る支度を整え彼女に声をかけようとしたところで、彼女は衝撃的な言葉を放った。 「……逢いたいな、ヒロ」  ヒロ。紘。瀬口あさが、俺の名前を呼んだ。いや、正確には俺なのかは分からない。でもただ名前を呼ばれたことが嬉しくて、俺は彼女に問うた。 「誰に逢いたいの?」  俺の言葉に驚いた彼女は、勢いよく顔を上げるとポーカーフェイスで何も無いと首を振る。  そして帰る支度をしながらそれよりも、と口を開いた。 「先輩まだ残ってたんですか」 「そりゃ普段残業をしない後輩が、1人で残業してたら心配にもなるよね。終わるまで待ってたらもうこんな時間だし。ところで、誰に逢いたいの? 彼氏?」
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