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これまでのあらすじ
僕は夏休みの宿題に、ひとつだけ自分自身で新しい宿題を付け足した。
これまでの冒険の記録を、しっかりと残すという宿題。
…まあ、こんな風にかっこよく言っているけど、要するに溜まっていた事件記録をまとめるだけだけどね。
僕は部屋に持ってきたとびっきり甘いミルクティーを口に運んだ。
熱すぎて舌が火傷しそうになるけど、その感覚が癖になってもう一度口元にコップを運ぶ。
ああ。このままだとずっと手をつけないかもな…
そう思って、僕はお気に入りの新しい手帳を取り出した。
かわいいクマが、ホットケーキを食べている手帳で、見ているだけでほっこりした。
「さてと」
僕は頭にトントンとペンで少し叩き、これまでにあったことを思い出した。
僕が探偵部のみんなと出会ったのは五月。
空中密室の事件の時だった。
あの時、部員の森田蘭と服部忍とはすぐに仲良くなれたんだけど、探偵部部長である家永圭と、ブレインである土井シャーロックとは…なかなか仲良くなれなかったんだよね。
だけど、圭が歩み寄ってくれて、同時にシャーロックと話す機会を僕にくれた。
あの時…僕は久しぶりに本当の友達ができたんだ。
その後に図書館推理ゲームを、宿敵(?)のミステリー研究会から受けたんだ。
その部長である、シャーロックのお兄さんからの依頼で…とっても難しかったけど、とっても楽しかった。
そして、体育祭では校長がいなくなってみんなで探したとき、圭とシャーロックが殺されかけちゃったけど…僕が運動オンチなお陰で二人を助けられたんだ。
夏休み前には、圭のおじいちゃんちに遊びに行った。
大きなお屋敷の中の道場で、圭と忍が袴を着て…喧嘩した。
まあ、男子ってみんなそんなもんだよね。
そして、夏休みに入った後、僕たちはみんなで花火を見に行ったの!!
そこで圭とシャーロックが仲良くなった話を聞いたんだ。
さすがはシャーロック。
最初はあの圭にも、全然心を開かなかったみたい。
そう、僕は初めて本当の青春を、探偵部で過ごしたんだ。
「これからの冒険は…どんな風になるんだろう?」
そう呟いて、僕は誰もいない部屋でニッコリと微笑んだ。
未来に待っている謎と、個性的な探偵部のおかげで、僕…黒田純の人生はどんどんいろんな色に染まっていくのだろう?
「楽しみだな~」
そして、また僕のスマートフォンに音がなる。
画面には、家永圭という文字が。
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