幽霊からの証言

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この映画は、俺が演じる侍、東条慎之介がタイムスリップをし、そこで出会った純演じるヒロインと一緒に元の世界に戻る方法を探す、というストーリーだ。 一緒にタイムスリップをした敵と戦うシーンもあるので、なかなか爽快感のある映画となっている。 話がシンプルな代わりに、アクションが多いから、きっといい映画になると…脚本の女子と、純が言っていた。 もちろん、純の方は目をキラキラさせてね。 まあ、個人的にもアクション映画は好きだから、悪くはないと思う。 「よし。 とりあえず一旦解散して、9時になったらもう一度集合ね」 蘭がメガホンを使ってみんな伝えると、簡単に片付けをし始めた。 撮影場所は、学校近くの神社で、神主がいるかいないかわからないぐらい酷い有様の神社だけど、やっぱり持ち運びしにくい物以外はちゃんと片付けないといけない。 俺はカツラを取って、頭を左右に振った。 頭皮に風が来る… この時、俺は切実に思った。 髪は、大事にしよう。 暑いのは…もうこりごりだ。 「次のシーンはラストのところだよね? 台詞覚えた?」 無邪気に純が尋ねると、俺は出来るだけ彼女の目を見ないように首を横に振った。 「もー!! 昨日のシーンで圭がアドリブいっぱい入れたから、すっごい大変だったんだからね!!」 …純、結構平然と演技を続けていたじゃないか。 と言ったら怒られそうだから、俺は苦笑いを浮かべながら、そーっと彼女から離れた。 さあさあ。 カツラをさっさと返さないと。 「はい。奥村さん」 俺は道具係班長の奥村ここなに、カツラを渡した。 「ありがとう!」 すると彼女は、乾燥剤がいっぱい入ったビニール袋にカツラをしまった。 「なあ…人伝に聞いたんだけど、このカツラを作ったのって、奥村なのか?」 「うん。そうだよ」 さらっと答えた彼女は、平然とキャリーバッグの中にあの袋を詰め込んだ。 …こりゃ、文化祭費、確実にオーバーしているな。
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