幽霊からの証言

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「圭!!」 純が大きなクーラーボックスを持って、俺の方に走って来た。 「夕飯、部室でたこパでしょ? ねえねえ、早く行こうよ!!」 「わかった、わかった」 頭の上で花が飛んでいそうなほどウキウキした調子で彼女は笑うと、俺の少し黒くなりかけていた心を、綺麗さっぱり洗い流してくれた。 うちの部員は、シャーロック以外はこの後の撮影に参加することが決まっている。 だから、純の提案により、今夜部室でたこ焼きパーティーをすることになったんだ。 よし。これでとりあえず、神谷の姿をしばらく目に止めなくても良さそうだ。 「じゃあ、ごゆっくりどーぞ」 皮肉っぽく彼らに言うと、俺は純が持っていたクーラーボックスをチラリと見た。 「…それ、重くないか?」 純が「へ?」と言うと、軽く微笑んでクーラーボックスを上下させた。 「行きよりは軽いから大丈夫だよ」 「だけど…持つよ」 確か、飲み物が入っていたペットボトルと一緒に、冷やすための氷がいっぱい入っていたはず… 「そんなに言うなら…交代で持とうよ。 最初は僕が持つから。ね?」 そう言うと、彼女はクーラーボックスを反対の肩に持ち直した。 「…」 「どうしたの?圭」 俺は優しく順の肩に手を乗せた。 「圭?」 すっと肩にかけていた紐を持ち上げ、するりと彼女の腕からクーラーボックスを盗んだ。 「いただきっ!」 「え、ちょっと…どう言う意味!? ねえ、圭待ってよ!!」 純が俺に手を伸ばすが、さっとすり抜けて彼女の手から逃げた。 本当に…嘘が下手なんだから。 純は何かと無理をするタイプだって、誰が一番知っていると思っているんだよ。 「たこパに乾杯」 シャーロックのやる気のない音頭にあわせて、俺たちは紙コップを少し上げた。 このたこ焼き機もいつも通り純が…と言いたいところだが、今回に限って持っていなかったらしいので、忍が持って来てくれた。 最初は、ホットプレートを用意してお好み焼きにするという話だった。 しかし、関西風にするか広島風にするかでかなり揉めたので、結局たこ焼きをすることになったんだ。 …まあ、関西派の忍と、広島派の純二人だけの攻防戦だったんだけどね。
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