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「私は聞いてませんけど、向かいの3号棟の503の小松さんなら知ってるかも知れません、長男の武真くん、バイトが終わって家に戻るのが夜中の1時ぐらいだって聞いた事あるので」
皆原に次男を殺された小松宅のインターホンを北村は押し、出てきた主婦、奏美に警察手帳を見せると、奏美は2人を家に招き入れ、そして出されたお茶を2人はズズッと一口啜った。それから学校から帰ってきて部屋に居た武真が2人の下にやって来る。
「見たよ?バイト帰りに。でも皆原を殺した瞬間は見てないけど。死体があったっていう公衆トイレの方から歩いてくる炎魔大王と擦れ違った」
「その時はやっぱり、炎魔大王が荊木勇士さんで、犯行の後だって知らなかったんだよね?」
「うん。でも、見かけない感じだったし、それに・・・」
3人の眼差しを見渡し、口ごもる武真だがだからといってそれは戸惑いだけであり、北村と森阪はとある1つの小さな予想を過らせながら静かに武真を見つめる。
「オレが、炎魔大王に依頼したから、もしかしたらそうかもと思って、話しかけたんだ」
「話したの !?その当時に」
「うん」
「じゃあ炎魔大王が荊木さんだって知ってたんだね?」
「うん」
「その時はどんな話をしたの?」
それから武真は語り出した。いつものバイト帰り、街灯しか明かりのない時間帯、武真は前方からこちらの方へと歩いてくる1人の誰かを目に留めた。それは、炎魔大王に依頼してから3日後の事だった。
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