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「そうだったんですか。何でその時に依頼の事言わなかったんですか?」
「妹の事とか、静かにしておけるならその方が良かったから。でも塩木も死んだから、少なからず、今は落ち着けてます。もういいですか?」
「最後に1つ、他に荊木さんの余罪について知りませんか?」
すると途端に蒲田は怒ったように鋭い眼差しを見せた。その一瞬で、北村は蒲田からヒーローへの依存心のようなものを見た。
「余罪って、人を助けた事が罪なんですか?」
「でも、殺人は殺人ですから」
「それじゃあ今の法律がおかしいんですよ。荊木さんに余罪はありません、だってあの人はヒーローですから!」
そう吐き捨てて蒲田は店に戻っていった。見えない厚い壁のようなものを感じていた。それは罪を咎める使命を背負った警察官としては恐らく抱いてはいけないものだろう、そう思いながらも、それでも北村は同情の眼差しで蒲田の背中を見ていた。
裁判も終えて荊木勇士が釈放され、まるで樹液に群がる虫のようにマスコミ達が騒ぎ、一般人だってスマホのレンズを向けていく情景を通り過ぎ、北村と森阪は警視庁に戻っていった。特テロはまだまだ、良い意味での寄せ集めチームというイメージが拭われておらず、チーム専用の部屋が設けられるもそこは元倉庫だった。とは言え今はお掃除もお引っ越しも終え、仲間も増えて立派な班だ。
「戻りましたぁ」
「次の勇者案件来てるよ」
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