3人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうですよね」
岡元がそう応えると北村は外れた期待を飲み込んで遠くを見渡す。透明人間でなければ防犯カメラには映る。
「そう言えば岡元さん。荊木勇士さんとは知り合いですか?」
「いや、噂の炎魔大王はオレもあの事件見るまで誰か分からなかった。ずっと1人でやってきたんだろうな。でも顔が割れたからこれからスカウト競争だ。どんな奴なんだろうな」
「暴力団幹部焼殺事件」から5日後に起こっていた焼殺事件の現場である団地の中の公園に北村達は来ていた。「高校生焼殺事件」の被害者はイジメグループのリーダーである事、中学生への殺人や強姦で逮捕された有名人である事が狙われた理由ではないかと調書にはある。無論マスコミは名前を出さないが、警察以上にその悪ガキが誰かなんて事はこの団地では知れ渡っている。
北村はとある家のインターホンを押し、出てきた主婦に警察手帳を見せる。
「突然すみません。警視庁捜査一課特テロの北村といいます。今良いですか?」
「え・・・はい。何ですか」
「荊木勇士さんの事でお伺いしたいんですけど、皆原晶人さんが亡くなられた当時、荊木勇士さんを目撃してはいませんか?」
皆原に息子をイジメられていた主婦、佐久間真子は目を丸くするが、それは皆原という人間を思い出して嫌気を抱くと同時に終わった事件の話という落ち着きも伺わせた。
「皆原が死んだのって夜中ですよね?そんな時に外になんて出ないので 」
「噂とかでも、何か聞いてませんか?」
最初のコメントを投稿しよう!