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「今日も来たのぉ? 吉乃の可憐な人」
友人の美夏が、私の顔を覗き込んで聞いてきた。
夕暮れ時の公園。
私は学校帰り、よく美夏とここでお喋りしてから帰る。近所はお年寄りが多いからか、比較的朝は賑やかなこの公園もこの時間になると人気が無い。私達はブランコに座りながら、お菓子を持ち寄り何時間でも話し大体暗くなってきて慌てて家に帰るのがお決まりのパターンだった。
「ね?見てきたんでしょ?バイト先」美夏はさらに私に近付いて、聞いてくる。
「うーん…今日はいなかったよ。いつも金曜日に来るから」私は観念して返事をした。
「ほらねー、やっぱり見に行ったかあ!こりゃきてる」美夏は膝をポンポンたたいて笑った。
「ちょーっと!そんなんじゃないよ。ただ…んー…」私は首を傾げて考える。
……不思議な人なんだよね。
不思議な人。
その人は、私のバイト先のレトロな『秋の葉』という名前の喫茶店に現れる。どちらかというと『秋の葉』はあまり忙しくない落ち着いたムードで、客層もお年寄りが多い。そんな中、金曜日の夕暮れ時に決まって訪れる若者は……目立つ。
しかも、超美形。
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