悠久の慟哭

聖なる時間

（……Ｈ市に行ってみようか……………）

　翌日、早速私は車でＨ市に向かった。生憎雨になり何となく空が薄暗い……。外を歩きまわるのに一々傘をさして視界も悪くなるので、日を改めれば良かっただろうかとも思う。

　ネット上で寄せられていた『ヨツグイ』の目撃地域はＨ市のＵ町付近だ。私は近場のパーキングに車を停めてＵ町を歩いてみる事にした。

　町内地図の掲示板をみつけて見てみると、隣接する町三つにかかる程大きな公園があった。

　ネット上では『ヨツグイ』は公園ではなくＵ町の民家の間で出没したという情報が多い。私は兎に角、歩いてみる事にした。一日で何か掴めるなんて甘い事は考えちゃいないが、これ以上当てもない。しかし、向井刑事が見せたコピー用紙には確かに過去に見たアレそのものが写っていた。

（無関心でいられる訳ない……）

　シトシトと降り注ぐ雨を傘に受けながら、黙々と見回し歩き続ける。昔ながらの家屋がかなり多く、住人も高齢者が多そうだと外観等から見てとれる。そのせいか今日のように寒くて雨の日は人通りが全くと言って良い程……無い。都会に来たと思っていたが、都心部から離れると私が昔住んでいた田舎で比較的賑わっていた町と、建物の感じはそう変わりない。むしろ、今はこちらの町の方が静かすぎて不気味な位だ。

（本当に人が住んでいるんだろうか？）

坂道を登り、暫く行くと学校があり校舎の窓からチラホラと人影が見える。当たり前だけど人がいる事にホッとした。門を見ると高校のようだ。校舎の横には広いグラウンドがあるが、土地事情のせいか田舎の学校より広大では無い。