聖なる時間

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「え、お姉さん取材してんの?きゃーどうする?」 「ナオどうする?」 「えー、アレじゃないヨツグイの事」 「だよね、まじキモいんだけど」  収集つかない言語で話し始めそうだ……。しかし噂を聞き出したいので、もう少し聞く事にした。 「それ、見た人とか学校にいるの? 場所とか色々知りたいんだけど」 「見たとかゆーのは聞いた事ある? ないよね」ナオという子に聞かれた残りの三人は首を横に振っている。 「この辺はこの辺なんっしょ?」 「そういやアレ誰が広めたの」 「知らな~い。そんなのいるわけないじゃん」  彼女達をこれ以上引き止めても有力な手掛かりは得られそうに無いので、礼をして離れた。ポケットからネット上に流れた『ヨツグイ』の画像のコピー用紙を出そうとしたら、後ろから誰かがぶつかってきて掴んだ用紙が手から離れて飛ばされた。 「あっ!すいませーん!」ぶつかって来たのは先程の女子高生達と同じ制服を来た女の子だった。何だか幼い頃の妹によく似ていて少し驚いた。 「何か落としましたよね……ああ、これだ……」女の子は落ちて濡れた用紙を手に取り『ヨツグイ』を見て、目を見開いた。 (この子……何か知っている!?)   「それ、見た事あるの?」私はすかさず聞いてみた。 「これ……」女の子は眉間にシワを寄せたまま、私を見た。警戒しているようだ。 「今、ネット上で騒がれている……この辺で噂されているヨツグイって言うんだけど…………何か」  女の子が周りを気にしているので視線を追うと、さっきの四人連れが興味津々でこちらをまだ見ていた。
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