未確認生物

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「さて、行きますか」美夏はブランコから飛び降りて言った。 「あんまり変な事言わないでよ。あくまで今日は静かなお客に徹するんだからねっ」私は美夏にしっかりと念を押して言った。    『可憐な人』である春海さんが『秋の葉』のスタッフになり、金曜日以外なら暇のある美夏がとうとうご対面しにいくのだ。数日前から美夏はとても楽しみにしていたので、余計な事を言わなければいいがと私は少しハラハラしながら連れて行った。 「そういえばあ、ちょっと前に年増の綺麗な人来たって言ってたけど正体解ったの?」 「しーっ、その話しは今度ね。ほら入って」  カランカラン…… 「いらっしゃー……あら、吉乃」蛍光イエローの派手なシャツを着たマスターが近付いて来た。 「マスター、今日は友達とお客様しにきたよ」 「運が良いわね、丁度テーブル席開いたわよ。この子が美夏ちゃん?」マスターは美夏を流し目で見た。 「あっ、いつも吉乃がお世話になっています。マスターの手作りケーキが美味しいと聞いて伺いました」美夏がマスターにペコリと頭を下げた。
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