未確認生物

3/14
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
「よろしい、座んなさい」マスターはお尻を振りながらカウンターに戻っていった。  美夏にはマスターが春海さん目当ての女性を敵視する事は話してあった。心配していたけれど美香はケーキを盾にして、マスターにロックオンされないように上手く挨拶した。流石、我が友。 「いらっしゃい」    私達のテーブルに水とお絞りを春海さんが運んで来てくれた。白いシャツに黒いパンツと黒いエプロン……エプロンを取ればどこか御屋敷の執事を思わせる格好だが、これはマスターが制服として強制的に春海さんに着させているものだ。春海さんが着ると何やら気品が漂うから不思議だ…………  美夏を見ると口をアングリあけた変顔のまま、春海さんを凝視しているので私は吹き出した。 「ちょっと、美夏、口、口、開きっぱなし」 「あっ!! あああこ、こんにちはっ美夏です、吉乃の友達です」美夏は口を慌てて閉じると真っ赤になって、狼狽えながら自己紹介した。 「宜しく美夏ちゃん、春海です。ごゆっくり」春海さんはオーダー表を置いて、ニッコリ笑ってカウンターに戻っていった。  春海さんが私達の席を離れた後も美夏の興奮は続いて、わたしにヒソヒソ声で言ってくる…………
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!