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未確認生物
私は相変わらず公園で美夏と待ち合わせをして、お喋りをしている。最近はもっぱら高校卒業後どうするのかの話しが多く、私達は将来に夢を抱きながらも不安や恐れもあり、お互いに話す事でそのストレスを解消したり、共感する事で僅かな安心感を得ていた。
「そういえばさあ、吉乃は聞いた事ある? 変な生物の噂……『ヨツグイ』っていうの」美夏が突然変えた話の内容にハッとして、私はブランコを漕ぐのをやめた。
「皆、進学や就職活動のストレスで息抜きしたいんだろうねー。でも笑っちゃうよね、未確認生物だよ?」美夏は笑いながら大きくブランコを漕いで、風を楽しんでいる。
私は少し悩んだ。美夏は親友でお互いに色々な秘密を打ち明けた仲だ。もしも私が『ヨツグイ』に襲われた話しをしたら……美夏は信じてくれるだろうか? きっと心配して『吉乃、疲れてる?』とか言いそうだ。私が悩んでいる間も美夏のお喋りは続く……
「前に何だっけ?ツチノコとかいう蛇の太いやつみたいな未確認生物が騒がれたよね、あれも何か見間違いだとかで終わらなかった? 何それーとか思ったよ…………」
(見間違いなら良いけどね…………)
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