第三章 高丘光彦

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死刑執行の際になるべく避けたい仕事としてメディアで紹介されるのは、死刑囚を地獄へと送るボタンを押す任務が一番に挙げられる。しかし、私はそうは思わない。 ボタンは三つあり、罪の意識が分散されるようになっているのもその理由だが、ボタンを押す刑務官は死刑囚の死を目の前で見なくて済むからだ。 私が精神的に一番厳しいと感じるのは、地獄へと落ちてきた死刑囚の足にしがみついて身体が跳ね上がらないように押さえる任務だ。 八カ月前、私と森本は戦後最悪な死刑囚と呼ばれた男の足を押さえる任務を拘置所長から命じられた。 その死刑囚の名は大窪修二。 私よりも七つ若いその男は、拘置所でも好き勝手に過ごしていた。遺族に対する心無い暴言を監視カメラに向かって繰り返し、見回りをする私や森本に対しても暴言を繰り返した。
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