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一目惚れだった。
笑顔の彼に、私は一瞬で恋に落ちた。
目は彼に釘付けになり、笑顔の彼から目が離せない。
心臓もありえないぐらいドキドキしてて、その時の私は息をするのも忘れていたかもしれない。
それぐらい、私は笑顔の創さんに心を持っていかれていた。
だから、創さんが姉のことを好きだと気づくまでに、そう時間はかからなかった。
創さんの視線の先にはいつも姉の菜摘がいて、姉を見つめる創さんの目は、とても優しい目をしていた。
今考えてみると、私が一目惚れした時の彼の笑顔は、姉の菜摘に向けられているものだった。
創さんは姉のことが好き。
それに気づいた私は、創さんのことを諦めようと思った。
だって…
姉が相手じゃ敵わないもの。
妹の私が言うのもなんだけど、姉の菜摘には欠点がない。
顔のつくりも完璧で、スタイルもモデルなみ。
仕事もできる女で性格もいい。
そんな完璧な姉に、どこにでもいるような普通の女の私が敵うわけがない。
例え姉に彼氏がいようとも、姉を好きになるような人が、どこにでもいるような女を相手にするわけがない。
そう思い諦めようとしたけれど、簡単に諦めることはできなくて、ズルズルと三年間想い続けた後に、玉砕覚悟で告白をした。
(姉のことを好きなままでいいから、私と付き合って欲しい)
バレンタインデーの日に手作りチョコをあげながら、無茶苦茶な告白を。
告白を聞いた創さんは、最初かなり驚いていたけど、
(お願いします!お願いします!私と付き合って下さい!)
押せ押せの私に根負けして、姉には内緒という条件付きで付き合うことをOKしてくれた。
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