第一章

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翌日。 ホテルの部屋の中。 チェックアウトの時間まで後わずか。 「ご迷惑をおかけして、本当にすみませんでした」 昨夜一緒にお酒を飲んだ男性に、私は深々と頭を下げ謝っている。 「飲んでる相手が俺だったからよかったものの、他の男だったら今頃君は…」 呆れた視線が私を捉えている。 やはり飲み方が悪かったのだろうか? アルコール度数の高いカクテルを侮っていたせいなのか? イッキに酔いが回った私は、途中から記憶を失くしていた。 そんな私を目の前に立っている彼が、彼の借りたホテルの部屋へと連れ帰り、ベッドに寝かせ介抱してくれたみたい。 そして今に至っている。 「本当にすみませんでした」 ズキズキ痛む頭を、私はもう一度深々と下げる。
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