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第七章
年が明け、今日は一月一日。
マンションから一番近い有名処の神社に初詣に来たのはいいけれど、元旦だけあって人の数が尋常じゃない。
「…人が多いな」
「…そうですね」
「はぐれないように、手を繋ごうか」
仁さんが手を差し出す。
手を繋ぐって…
いやいやいや、緊張するって…
「あっ、いやあのっ、大丈夫です。後ろからちゃんとついてっ…」
話してる最中に横から押され、
「…おっととと…あっ…すっすみません…」
仁さんに体ごとぶつかる。
ぶつかったと同時に仁さんは、
「ほら、大丈夫じゃないだろ」
そう言いながら私の身体に腕を巻き付け、さらに引き寄せる。
密着する身体と身体。
その状態のまま、数秒が経過。
なっなに?
なんで離れないの?
離れようとしても、仁さんが腕を緩めない。
なにが起こっているのかと顔を上げて仁さんを見ると、至近距離で視線と視線がぶつかった。
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